「なぜ、世界は“右傾化"するのか?」を読んだ。
- 作者: 池上彰,増田ユリヤ
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2017/06/08
- メディア: 新書
- この商品を含むブログを見る
日本での報道を見るぶんでは、ナチスのような政治団体が台頭してきたような印象を受けていたポーランドとフランス。
しかし実際は日本人が連想する激しさ・排他的な右傾化とは違い、もうちょっとマイルドなものだというのは新しい視点だった。
p.73
ブッシュ政権(8年間)
強制送還された不法移民200万人
オバマ政権(7年間)
強制送還された不法移民280万人
トランプ政権
最初:すべての不法移民(1110万人)
現在:犯罪者や犯罪歴のある者、ギャングのメンバーを中心に200万人から300万人を追い出す
そんな過激じゃない。
他の政権とたいして変わらないじゃないか。
p.184
国の政治状況が自分たちの生き方と相いれず、自由を求めて外に出ていってしまったまま戻ろうとしない若者たち。一方、EU加盟国であることの恩恵を他国で受けながらがらも、祖国や宗教を賛美する戦後生まれの熟年層。結局、誰もが「いいとこどり」を求めているにすぎないのだろうか。
ポーランドについて。
負担を強いられているEU加盟国が不満に思うのは当然だ。
p.206
スンニ派の大国であるサウジアラビアと、おなじくスンニ派のカタールが武器や資金を提供して自由シリア軍を支援します。
これにより、アサド政権は一時劣勢に立たされます。そこで政権支援に乗り出しのが、同じイスラム教シーア派の大国イランです。また、シリアに海軍基地を持ち、中東での足がかりとなっていたシリアを守ろうとロシアが支援の手を差し伸べます。
イスラム過激派「イラクのイスラム国(ISの前身)」は
(略)
アサド政権と戦うのではなく、自由シリア軍など反政府勢力を攻撃し、武器や資金を獲得して勢力を拡大しました。
アラブ諸国のカタール断交の理由にカタールがISをサポートしているというのがあったと思うけど、ISもカタールもスンニ派だからか。
でも、自由シリア軍は元アサド政権軍だからアサド政権と同じシーア派だろうけど、反政府勢力はスンニ派だろう。
なんでスンニ派のISが同じスンニ派の反政府勢力を攻撃したんだろう。
単純ではない世界の"右傾化"とは?
日本も世界から右傾化と見られている?
先が読めない時代をニュースのプロはどう見るか――。イギリスのEU離脱やトランプ政権の混乱が続く中、仏大統領選挙では極右政党の代表が選ばれなかった。
世界に「昔はよかった」という流れが生まれている一方で、くい止めようとする力も働いている。
「右傾化」をキーワードに世界を読み解く。【目次】
序章 ニュースのプロは何を見ているか
第1章 トランプのアメリカはどうなる?
第2章 分断される世界で生きる人々
第3章 一国主義はここから始まった
第4章 移民たちの格差
第5章 "右傾化"に揺れるヨーロッパとこれからの世界
第6章 世界の今後をうらなうフランス大統領選「極右」とは何か/ニュースの現場が時代遅れ! ?/トランプに対話を求めたイスラム教徒/マクロンが勝ち残った理由/政治の知ろうとでも生活者のプロを議会へ/
【プロフィール】
池上彰(いけがみ・あきら)
1950年、長野県生まれ。慶応義塾大学卒業後、NHKに記者として入局。事件、事故、災害、消費者問題、教育問題等を取材。1994年から2005年まで「週刊こどもニュース」に出演。2005年から独立。2012年から16年まで東京工業大学教授。現在は名城大学教授。海外を飛び回って取材・執筆を続けている。著書に『伝える力』(PHPビジネス新書)、『おとなの教養』(NHK出版新書)、など多数。増田ユリヤとの共著に『世界史で読み解く現代ニュース』、『世界史で読み解く現代ニュース<宗教編>』、『徹底解説! アメリカ』(ポプラ新書)などがある。増田ユリヤ(ますだ・ゆりや)
1964年、神奈川県生まれ。國學院大學卒業。27年にわたり、高校で世界史・現代社会を教えながら、NHKラジオ・テレビのコメンテーターを務めた。日本テレビ「世界一受けたい授業」に歴史や地理の先生として出演のほか、現在コメンテーターとしてテレビ朝日系列「グッド! モーニング」などで活躍。日本と世界のさまざまな問題の現場を幅広く取材・執筆している。著書に『新しい「教育格差」』(講談社現代新書)、『移民社会フランスで生きる子どもたち』(岩波書店)、『揺れる移民大国フランス』(ポプラ新書)などがある。池上彰とテレビ朝日「ワイド! スクランブル」のニュース解説コーナーを担当している。