「自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間"を捨てられるか 」を読んだ。
自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間"を捨てられるか (青春文庫)
- 作者: 岡本太郎
- 出版社/メーカー: 青春出版社
- 発売日: 1993/08/01
- メディア: 文庫
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1988年出版の本で著者は岡本太郎。
岡本太郎というと、太陽の塔をデザインした芸術家としてのイメージしかなかった。
この本を読むと岡本太郎はかなり先鋭的でルールに縛られることを拒否し、物議を醸す発言をし続けた人物のようだ。
この本は今まで読んだ本の中で1番著者のエネルギーを感じた。
ガンガンと燃え盛る意志が伝わってくる。
その熱でこちらの心も動かされる。
そうはいっても自分は岡本太郎のすすめる危険な道には進まないと思う。
自分は安定が欲しいし、今日温かいもの、美味しいものが食べたい。
それらは科学技術や経済発展に依っている。
生まれた理由も死ぬ理由もわからないけれども、その間そんな生活をおくってもいいじゃないか?
自分には毒を持つ理由がない。
そんなもんじゃないだろうか。
この本を読んだ人でどれだけが危険な方に舵を切っただろう?
結局会社をやめないでしょ。
嫌だけど上司の誘いは断れなくて飲みに行くでしょう。
くだらない市井の会話に巻き込まれて、変わらずなんとなく相槌をうっているでしょ。
そんなもんだろう。
p.18
「安全な道をとるか、危険な道をとるか、だ」
…
「危険な道をとる」
いのちを投げ出す気持ちで、自らに誓った。死に対面する以外の生はないのだ。その他の空しい条件は切り捨てよう。そして、運命を爆発させるのだ。
-
p.28
もう一方の道は誰でもが選ぶ、ちゃんと食えることが保証された安全な道だ。それなら迷うことはないはずだ。もし食うことだけを考えるなら。
そうじゃないから迷うんだ。危険だ、という道は必ず、自分の行きたい道なのだ。ほんとはそっちに進みたいんだ。
だから、そっちに進むべきだ。
分かるけれども、それを選ぶのは怖い。
p.42
農作業でも、コンピューターの操作でも、強制された労働としてやれば苦役だが、自由な「遊び」として創造的に取り組む限り、それはよろこびだ。
言いかえれば、人生、即、芸術。
ホリエモンが刑務所で紙を折る作業を工夫して効率化。そして誰よりも多くの作業量をこなせるようになった話を思い出した。
p.50
ふと惹かれるものがあったら、計画性を考えないで、パッと、何でもいいから、自分のやりたいことに手を出してみるといい。
それでもしだめなら―つまり続かなかったら続かなかってでいいんだ。いいと思うべきだ。
これもホリエモンが言っているのと一緒だ。
ホリエモンはこの本を読んだのかもしれない。
自分の中に毒を持て あなたは“常識人間”を捨てられるか
著者が1993年に出した文庫本の新装版。亡くなる3年前に書き残した。今を生きる人々を叱咤激励している。自分の人生を振り返って、この世に生まれ出た瞬間から(覚えているわけではないだろうが)、小学校時代、パリ留学時代、今日に至るまでを「決められた枠にはまらずに、自分の思いを爆発させ続けてきた連続だ」と言う。
著者の主張は明快だ。「集団に馴染むために個性を殺すな。1人ひとりが本気で考え、自分の思いを爆発させなければ、世界はつまらなくなる」。
何かを生み出すためには、自分を追い込むことが必要だ、という言葉は芸術家として生き抜いた著者の叫びだ。
数々の前衛的な芸術作品に込められた熱く厳しいメッセージが伝わってきて、勇気づけられる。