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スクラップ・アンド・ビルド 2016年6冊目

スクラップ・アンド・ビルド ★★★☆☆



第153回芥川賞受賞したので興味を持ち読んでみた。


食欲、性欲を持ちながらもただただ死にゆく祖父。
筋肉を壊しては筋肉を強化する孫。


介護は必要だが、自分で出来る皿洗いをやってくれなどと甘える祖父。祖父の世話をすることでニートである自分の存在意義を保とうとする孫。

そんな対象的な二人が共依存している。



最期は祖父の最期と対峙する時が描かれていると思っていたのが、共依存からの脱却で終わってしまったので期待はずれだった。


p.41

おぼつかない足取りでうろつく年寄りに仕事のじゃまをされないための、転倒されて責任追及されるリスクを減らすための行為であることは明らかだ。手を差し伸べず根気強く見守る介護は、手を差し伸べる介護よりよほど消耗する。要介護三を五にするための介護。

内容紹介
第153回芥川賞受賞作

「早う死にたか」
毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、
ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。

日々の筋トレ、転職活動。
肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して……。
閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!