新しい道徳を読んだ。
- 作者: 藤原和博
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/12
- メディア: 新書
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言葉足らずなのか、思い込みが激しすぎるのか、著者の説明に説得力はなかった。
p.12
日本の大人の取る行動は、旧来からの道徳的な感受性のツボにはまると、マスコミの論調に後押しされながら、いつも感情的な帰結を求めるクセがある。これは、多くの大人が、感情的な「道徳」は学んでいるが、「理性の運用技術」を十分に学んでいないからである。学んでいないのが悪いのではない。学校では教えてくれなかったはずだから、致し方ないのだ。この数年の例で言えば、「学力問題」や「いじめ問題」が典型的だった。
…
感情論だけの「古い道徳観」から、理性に裏打ちされた「新しい道徳観」へのシフトチェンジが、いま、日本には必要なのである。
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p.36
中学生平均テレビ視聴時間は2時間15分…
制限をせず野放図につけっぱなしで見せていて、学力が下がったのは「学校のゆとり教育や薄くなった教科書が悪い」では笑ってしまう。
そうかな。
中学生の1日のテレビ視聴時間がゆとり教育開始前と開始後で変わらない場合は、その主張は的を射ている可能性があると思う。
可能性がある以上、ちゃんと比較しないで表面的に判断するのはいかがかと思う。
p.74
「教員の七割が総合学習はいらないと言っている」の実態は、教員の七割は総合という教科を教えるだけの力量がないということ。
たんなる著者の想像で、なんら裏付けが書かれていない。
p.79
田舎の学校にも関わらず、生徒の多数が難関大学への進学を果たしたからである。
総合学習の成果として、情報処理能力、正解主義の大学受験を提示するって矛盾してないか?
「総合学習の結果、情報処理能力と正解を選ぶ力がつきました。でも情報編集力はわかりません。」
これじゃ、既存の教育と目指すところは何も変わっていない。
p.174
「正解」のない成熟社会を生き抜くための「納得解」の導き方を教えなければならない。
それが「新しい道徳」である。
「新しい道徳」=「理性の運用技術」=「納得解」の導き方
情報化し、多様化した現代社会では、道徳を感情的に押しつけることは不可能だ。バラバラに生きる個人を支えるために必要な「理性的な道徳観」を大胆に提案する。