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池上彰・森達也のこれだけは知っておきたいマスコミの大問題 2016年10冊目

池上彰・森達也のこれだけは知っておきたいマスコミの大問題 ★★★★★


メディアのあり方に関しての本。メディア関係者でなくてもメディアのあり方を知っておいて損はないと思った。それくらい良書だった。


忖度。空気を読む。
ことさら、集団化しやすい日本で起きやすく過激になり反対意見を封殺してしまう。


p.126

池上:ドイツでは、憲法にあたる基本法を変えるとき、国民は直接にはそれに投票しないシステムになっています。

池上:要するにドイツは歴史の教訓から、国民の判断を信用していないんです。特に国民は熱狂してとんでもないことをやる。ナチスドイツ台頭の時代に国民はみんな熱狂して一挙にヒトラー支持に行ってしまった。国民投票をやると、そういうことになりかねないから、知性がある代表者たちだけで考えましょうという判断をしたのです。

森:民主主義を守るため民主的な手続きを自分たちで制限してしまった。

池上:ドイツの一番のジレンマというのは、当時、世界で一番民主的だと言われていたワイマール憲法で、世界で理想の民主主義を作ったと自負していたら、そこからナチスドイツが生まれてしまった。そのワイマール憲法下で、ナチスドイツはちゃんとした民主主義的な手続きで政権をとったのです。

民主主義ってポピュリズムに陥る危険性はどうしてもあるな。
ドナルド・トランプの人気と重なる。


p.168

ネットの書き込み、匿名掲示板とかがまさしくそれですね。自分であって自分ではない。何らかの不定形の民意みたいなものを背負っているような感覚になってしまうから、ものすごく強気になれる。だから「死ね」とか直接面と向かってはとても言えないような過激な言葉を、ぺらぺらと発してしまう。

p.195

森:結局のところニュースのバリューやプライオリティを決めるのは直感です。言い換えれば主観。マニュアルや方程式があるわけじゃない。そこに客観性や中立性などありえない。伝える側が自ら判断することです。ニュースとは主観なのだとそろそろカミングアウトすべきです。公正中立とか客観性とか、そんなタテマエを上げているから、今も政権から「客観的にやれ」とか言われて反論できなくなるわけです。

内容紹介
【テレビでは見られない池上氏の辛らつな政府・メディア批判! 】 「中立な解説者」「優しいお父さん」のイメージが強い池上氏が、これ までテレビでは封印していた自論とホンネ、体験談を惜しみなく展開! 【森氏が直接ぶつける池上批判と問いに池上氏はどう答えたか?】 「朝日新聞への提言」を巡って森氏は池上氏を批判! また、「自分の 影響力の大きさについてどう思っていますか?」等、次々と繰り出され る森氏の鋭い問いに池上氏はどう答えたか? 【現代書館オリジナル語り下ろし! 】 マスコミが誤報を流した際の対応や、政府から圧力を受けた際の対応 について等、これからのメディアのあり方を幅広く語り合っています!

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
池上/彰
1950年、長野県松本市生まれ。ジャーナリスト・東京工業大学教授。73年、NHK入局。報道記者として松江放送局、呉通信部を経て東京の報道局社会部へ。「週刊こどもニュース」でお父さん役を務め、わかりやすい解説で人気を博する。2005年に独立

森/達也
1956年、広島県呉市生まれ。映画監督、作家。明治大学情報コミュニケーション学部特任教授。テレビ・ドキュメンタリー作品を多く製作。「A2」では山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。2011年、『A3』(集英社インターナショナル)で講談社ノンフィクション賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)