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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet 2014年30冊目

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet ★★★★☆



 山田なぎさは弾丸を持つことを望んでいた。
それは現実の世界、大人の世界に足を踏み入れることなんだろう。
それに対し藻屑は砂糖菓子の弾丸を撃っている。辛い現実から目を背けるために、この世は現実ではなく嘘だと思い込もうとするためだったのだろう。
子どもはこんな大変な世界を生きるために戦っているのか。

 終盤に足を引きずっていること、聞こえないふりをすること、ペットボトルを投げることの理由がわかると悲しくなった。
自分の死を感じながらも家に帰り父親を慕うこどもの健気さが、さらに悲しみを増幅させる。

 喪失感、無力感で終わる物語はとてもリアルに感じた。
実際の事件の裏はこういったことなのかもしれない。




内容紹介
ある午後、あたしはひたすら山を登っていた。そこにあるはずの、あってほしくない「あるもの」に出逢うために--子供という絶望の季節を生き延びようとあがく魂を描く、直木賞作家の初期傑作。
内容(「BOOK」データベースより)
その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望していた。そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは序々に親しくなっていく。だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日―。直木賞作家がおくる、切実な痛みに満ちた青春文学。
著者について
2000年デビュー。07年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞受賞。08年『私の男』で第138回直木賞を受賞。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
桜庭/一樹
2000年デビュー。04年『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が、ジャンルを超えて高い評価を受け、07年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞を受賞。同書は直木賞にもノミネートされた。08年『私の男』で第138回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)