白ゆき姫殺人事件 ★☆☆☆☆
前回読んだ著者の告白が素晴らしかったので読んだ。
タイトルに「殺人事件」とあるが、探偵物でも刑事物でも推理物でもない。
「告白」と同じく世相批判が作者の狙いだと思った。
憶測で他人の性格を決めつける世間、キャッチーな記事にして犯人を決めつけ世論を誘導するメディア。
真犯人がわかると、手のひらを返す世間とトカゲの尻尾切りをするメディア。
どれも目新しに欠ける。
また、給湯室での会話をそのまま載せたような形式なので、内容が薄くとりとめがない。これは作者が狙ったものだとはわかっていても、文字として読ませられるとただただ苦痛だった。
追記(2014年6月18日)
amazonレビューに気になるコメントがあった。
読み終えた後、最後のページと最初のページがしっかりリンクします
確認してみると確かに!!!
p.277
鏡よ鏡、わたしはこれからどうすりゃいい?
答えは簡単、呪文を唱えるだけでいい。
それが真実になるまで、ずっと、ずっと…心の準備は整った。さあ、王子様に電話をかけよう。この白ゆき姫を救ってくれと。
これが冒頭に繋がる。
最初は恋心を抱いていたのかと思ったが、赤星との電話ではむしろ逆の発言がある。
だから世論を操作するために記者である赤星を利用したという意味だと思う。
p.191
信じていた人には裏切られ、見ず知らずの人たちからは誹謗中傷を受ける。しかも、当事者の全く手の及ばないところで。
p.265
4月1日号、4月8日号の特集記事において、一部誤解を招く表現がありました。
なお、記事を担当した本誌契約機者は今月1日付で契約無効となったため、本誌は一切の責任を負いかねます。
内容(「BOOK」データベースより)
化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者、赤星は独自に調査を始める。人人への聞き込みの結果、浮かび上がってきたのは行方不明になった被害者の同僚。ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌報道は過熱する一方、匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理。噂話の矛先は一体誰に刃を向けるのか。傑作長編ミステリー。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
湊/かなえ
1973年広島県生まれ。2007年に「聖職者」で小説推理新人賞を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビュー。この作品が09年に第6回本屋大賞を受賞。12年「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)