マーク・ピーターセン英語塾 ★★★★★
マーク・ピーターセンの著書は4冊目。
日本人からしたら無視してしまうような大事なニュアンスの違いが分かりやすく説明されている。
やっぱり面白い。
9、10章が特に面白かった。
気になったのは、例に出す映画や本の設定がくどいところか。
p.137
「院長が彼女を早退させた」という場合でも、早退したいと言っている彼女を早退させてあげた
let her go home early
絶対早退しないという彼女を無理矢理早退させた場合
made her go home early
彼女を説得して早退させた場合
got her to go home early
院長として当然の権利を行使して、彼女を早退させた
had her go home early
p.201
「放射能を測定したこの機械は、以前われわれが同じような研究を行った当時は、まだ開発されていなかった」ということを表そうとして、The device which we measured the radiation had not yet been developed at the tiem of our previous similar study.
と書いた場合、私はこのセンテンスを、
The device with which…
と、前置詞のwithをつけて直します。
略
たとえば、元のセンテンスを”The device which we measured…”まで読むと、「われわれが測定した機械は…」とあり、”device”が”measured”の目的語となってしまっているので、これだけでも英語が不条理になるのですが、そのまま読みつづけると、”…which we measured the radiation….”と、突然”radiation”という同じ動詞のもう1つの目的語が現れてしまいます。
略
つまり、「われわれ」と「機械」と「放射能を測定する作業」との関係を考えると、どうしても「われわれはその機械で放射能を測定した」ということですから、「で」という関わりを表す英語(with)を使わずには表現できるはずがないのです。
目から鱗。
p.209
The optimal temperature for fabricating the device to be used in the newly develped IC so as to maximize performance under actual conditions was calculated.新開発のICに使われ、実用上性能が最大になるデバイスを製造するときの最も望ましい温度が計算された。
このように英語の場合は、日本語と違って、主語と動詞がかけ離れていて読みにくい文章になるケースも多いのです。読者をイライラさせる文体です。が、同じことを、
We calculated the optimal temperature for fabricating the device…
と、能動態で表現するば、読み手の気持ちはスッキリしてくるのです。
英語って主語の次に動詞が来るって中学校では習うけど、実際は間にゴテゴテに修飾語が入ったりするな。
p.223
実は、この”you”を使って自分のことについて述べる場合すら少なくありません。
略
投手が、記者会見で「選ばれてどんな気持ちですか」と尋ねられると、こう答えました。It doesn't matter if you start Game 1,2 or 4. All of those games are important. There's not any adde pressure pitching Game 1.
(何戦に先発しようが、関係ないね。すべての試合が重要なんだ。第1戦先発だからといって、特別なプレッシャーはないよ)
つまり、自分の気持ちを説明するのに、彼は”I”ではなく、”you”を使ったのです。もちろん、
It doesn't matter if I start…
と言っても良かったのですが、彼のように”you”で話を一般論にすると、「何も俺だけのことではなく、誰もが、同じ立場に立っていたら、同じ気持ちになるだろう」といったニュアンスがありますから、態度が微妙に謙虚に感じられます。要するにいささか気持ちの良い表現になるのです。
出版社 / 著者からの内容紹介
ネイティブの英語感覚が身につく一冊。
名著『痛快!コミュニケーション英語学』がコンパクトになって登場。英語の基礎的知識、ネイティブ・スピーカーの英語感覚が、読み進めるうちに身につきます。すべての英語学習者、必読の一冊。
内容(「BOOK」データベースより)
日本人が苦手とする冠詞、時制、仮定法などを、明快に教えてくれる本。