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僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活

僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活 ★★★★☆

先にamazonレビューで”からくり”を知った上で読んだ。
以下”からくり”についてネタバレしているので、読もうと思っている人は読まない方が良い。







高機能自閉症の妻が夫の目から見た自分と夫を描くという他にないアイデアが素晴らしい。
自分を客観的に見れていて夫の気持ちが分かっている。
どうして実際の会話ではそれが出来ない?
見ているこちら側が歯がゆい気持ちになる。

妻は分かっていながらコントロールできなくて辛い。
それが高機能自閉症とのこと。
夫はまるで異星人と一緒にいるようにコミュニケーションが取れなくて辛い。
両方辛いんだ。
それが良く分かった。
その辛さは、自分にはとても耐えられないと思った。


こうすれば良かったのではと思ったこと。

  • 色々な原因を地方都市に住んでいることによる不都合と原因付けている。

そこまで不都合を感じているのなら、すこしでも環境が合うところに引越をすればいいのでは。

  • 会話ではなく筆談をすればより良いコミュニケーションが出来たのでは。

評価できなかった点は以下。

  • モトクロス関して必要以上に詳しく記されている。

1行で終わらせる内容でしょ。

  • 表情から読めなくて、場違いな対応をしてしまうケースが何度か出てくる。さすがにくどかった。

例は2,3にとどめておくのがいいかと。


p.111
体調が悪かったり、疲れていたり、気分的にまいっているようなときは症状が強く出るし、いつもなら何でもないようなちょっとした刺激でも、身にこたえる。逆に心身が好調なときには、過敏反応もあまりひどくはあらわれない。

自閉症もそうなんだ。
それなら、運動、食事、睡眠に気をつけて良い状態を保つ努力をしなくちゃ。


p.171
実際、何度同じセリフを繰り返してきたことか。
「だって、確認したかったんだもん…別に減るもんじゃなし、何度聞いたっていいでしょ!」
減るんだよ!僕の忍耐はすり減るんだって!

確かに。

p.195
僕がついに堪忍袋の緒を切らし、カンカンになって怒鳴りだすまで、妻は前兆に気付かない。妻からすれば、それまで普通に会話していたつもりなのに、僕が突然ぶち切れて大声をあげはじめるように見えてるんだ。だから、自分でさんざん種をまいておいたくせに、僕がいよいよガマンのげんかいにきて怒り出すと、心底びっくりするらしい。

これは耐え難いな。

p.229
だから僕は決して、妻の保護者をしているつもりはない。妻と結婚しているとトラブルも多いし、まあいろいろと面倒なこともある。でもプラスとマイナスで考えると、マイナス面も多いかわりに、ものすごい大きなプラス面もある。

p.230
どんな時も決してあきらめない妻を見ていると、たとえ妻のマイナス面ばかりがあまりにも大きく見えるときでさえ、この結婚生活をあきらめ、妻のプラスの面を失ってしまうのは、僕自身にとってあまりにももったいないという気がするんだ。
妻の人生はなかなかうまくいかないので、挫折も多いし、ウツにも悩まされてるし、何とかしんどそうだけど、それでもがんばる彼女を見ているのは、けっこう楽しい。

この本の”からくり”を知っていると、この文章は非常におかしい。
これは本当に夫が語るべき言葉だ。

p.231
実際の書き手は「異星人妻」、高機能自閉症アスペルガー寄りと診断された当事者です。自分自身や自分たち夫婦の姿を、パートナーである「夫」の視点から物語ることで、二人の日常をいつもと違う方向から見つめ直すことができるのではないか。そして書くことを通して、夫が日ごろから感じていることや考えていることをもっと理解し、夫婦の関係をよりよくするために役立つのでないだろうか。そんな思いつきから、この本のスタイルが生まれました。

ネタばらし。
amazonレビューにあった、”本当に夫目線からの本が読みたかったのに”っていうのも理解できる。そういうタイトルだし。

p.232
つまり、他人の立場からものを見たり考えたりすることがうまくできないからこそ「異星人」だというのに、一冊の本を丸ごと、夫という他者の視点から書こうとすること自体、とんでもなく無謀な行為だったのです。

すごいアイデアだと思う。

p.234
改めて文章にすることで、夫が私たちの結婚生活についてどう考えてきたのか、これからの人生に何を望んでいるのかといった、さまざまな思いを知ることができました。これまで彼があえて口にしなかった苦労や辛かった時のことを聞き、私が彼について長年、たくさんの考え違いをしていたこともわかり、素直な感謝の気持ちとともに、夫への新たな理解と信頼感が生まれました。

この本の中でも会話では駄目でもメールや文章では理解できると書かれていた。
だから伝わらないことは筆談すればいいと思う。

p.237
私の場合は、知能に後れがなく、言葉が使え、書かれたものならかなり複雑で難しい内容も理解することができます。けれどそれは、自分の能力の欠陥を頭では痛いほど理解できていながら(それは生まれ持ったものなので)、思うようにコントロールすることはできない、という、情けなくもどかしいことなのです。

内容紹介
しばしば噛み合わなくなってしまう会話。「個性的」を通り越し、周囲の目を忘れたかのような独特の行動。ボキャブラリーも、話題も豊富な僕の妻だが、まるで地球人に化けた異星人のようだ……なぜ? じきに疑問は氷解する。彼女はアスペルガー症候群だった。ちぐはぐになりがちな意識のズレを少しずつ克服する夫婦。その姿を率直に、かつユーモラスに綴った稀有なノンフィクション。