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太宰治エッセイ 自作を語る、わが半生を語る

太宰治 人間失格 


エッセイ 自作を語る

p.470
私は、私の作品を、ほめてくれた人の前では極度に矮小になる。その人を、だましているような気がするのだ。反対に、私の作品に、悪罵を投げる人を、例外なく軽蔑する。何を言ってやがると思う。

だましている?
そんな風には読み取れなかったが。
しかしエッセイでは、かなり素直で気弱な感じは受けなかった。



エッセイ わが半生を語る

p.482 私は変人に非ず
この頃つくづく考えてきました。人間はみな同じものだ。そういう思想はただ人を自殺にかり立てるだけのものではないでしょうか。

「斜陽」の中で登場人物に、『「人間はみな同じ」という考え方は、「社会主義」、「マルキシズム」、「思想」とは違う』と言わせていた。
しかし、それらとの明確な違いは、自分には分からなかった。
ただ、自殺にはかり立てはしないけれど、太宰治の言うとおり「恐ろしいもの」には思えた。


p.484 私は変人に非ず
私も、もう三九になりますが、世間にこれから暮らしてゆくということを考えると、呆然とするだけで、まだ何の自信もありません。だから、そういういわば弱虫が、妻子を養ってゆくということは、むしろ悲惨といってもいいのではないかと思うこともあります。

それは妻子を持つ前に考えることでは、と誰の心にもよぎることを思ってしまった。