ニューオーリンズ・トライアル ★★★★★
陪審員の選別を弁護士がやるので、誰が陪審員か分かってしまうシステム。
なのでその後幾らでも陪審員にコンタクトを取ることが出来、裁判がマネーゲームとなってしまっている。
そんな欠陥システムあほらしいと何度思ったことか。
「正しい者が勝つのではなく、強い者が勝つ」という法廷劇を途中まで繰り広げるのだが、後半は…!
ニューオーリンズで銃の乱射事件が発生。犯人は11人を射殺して自殺。犠牲者の家族は大手銃器メーカーを相手に訴訟を起こす。被告側は伝説の陪審コンサルタントのフィッチを雇い、評決の鍵を握る陪審員に裏工作を開始する。
数あるジョン・グリシャムの小説の映画化作品の中では、間違いなくベストワンといえる傑作。我が国でも近く導入される、陪審員制度を題材に、陪審員のひとりであるニック(ジョン・キューザック)が仕掛ける謎の策謀と、陪審員を意のままに操り判決を有利にせんとするフィッチ(ジーン・ハックマン)とのかけひきは、ワンカットたりとも目が離せないスリルに満ちている。また貫禄たっぷりのシーン・ハックマンと、原告側の弁護士ダスティン・ホフマンの演技合戦も見もの。劇場公開時は短期間で終了したが、ストーリーテリング、編集、演出、演技、どれをとっても一級品のリーガル・サスペンス。(斉藤守彦)