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一億総貧困時代 2017年13冊目

一億総貧困時代を読んだ。


一億総貧困時代 (集英社インターナショナル)

一億総貧困時代 (集英社インターナショナル)

★★★★☆



貧困に陥ってしまう事例として提示されたものはほとんど全員に当てはまる。

  • 親の虐待
  • 親の介護のための離職
  • 違う言語・文化で馴染めない外国人
  • 奨学金破産
  • ブラック企業
  • 生活保護費の減額
  • 重病・障害


避けられない、予期できない出来事で、普通の生活からスルスルと貧困にはまっていく過程がよく書かれている。



明日車に轢かれて半身不随になってしまったら。

親が倒れ24時間介護しなければならなくなったら。



貯金はそう持たないだろう。


貯金が尽きた後は?


自分も同じ道をたどる可能性が高い。





ただ奨学金破産については納得できない。


働きながら大学の夜間に通う、授業料の安い大学に入る、成績優秀で授業料免除を狙うなど奨学金を受けないで大学に行く方法はある。


もしくは大学に行かない選択をしても良い。
大学入学にも”徒競走のように平等に一緒にゴール”なんて面倒を見るべきではないと思う。


しかも、サインする前にローンについての説明は受ける。


もしローンでなく給付型にするなら、ごく一部の偏差値の高い大学の成績優秀者のみにするべき。
大学生活を社会人になるまでのモラトリアムだと思っている大学生が多いから、全員に給付しても無駄になるからだ。



p.5

平均年収168万円という非正規雇用率が4割となり、正社員であっても時給換算すると最低賃金ギリギリという労働のブラック化、低賃金化が広まる中、貧困はいつの間にか、他人事ではなくなった。

あるいは、親の介護という形で現れるかもしれない。また、震災いや原発事故というった突然の惨事によって、ある日突然「貧困」がもたらされた人もこの国には多くいる。

不可抗力で突然貧困に陥ってしまう。

自己責任の範疇じゃないな。


p.52

生活保護は「過去最高」の200万人を突破し、同時にバッシングの機運が高まっている頃だった。不正受給が多い、働けるのに怠けている等々。実際は、不正受給は2%以下。そして生活保護を受けている人の約8割を高齢者世帯および障害・傷病世帯が占めるので、「働けるのに怠けている」は事実に反する。

なぜ「働けるのに怠けている」という発言が生活保護受給者200万人全員に向けて言われていると思ってしまうか。

なんで1か0でしか考えられないのか。

発言を拡大解釈して著者の都合の良いように持っていきたいだけじゃないか。


p.107

「うちではシェルターを20年近くやってますけど、青い目の金髪の白人で、シェルターに入った人は1人もいないんです。だいたいフィリピン人とかの東南アジア。だから日本の男の人の多くは、白人の奥さんはいじめないんですよ。また、白人女性の多くには、英語の先生とかの仕事がちゃんとあるんです」

一見なんて酷いと思ったけど、そもそも白人の奥さんってそう見ない。

東南アジアの奥さんと白人の奥さんの人口比を考慮したんだろうか?


p.118

「たぶんどこかから、『戻ってきてください』って言うように指示が出ていたと思うんです。『避難先の学校に行くか戻ってくるかどちらかにしてください』って言えばいいのに、避難先の学校に行くっていう選択肢は示されなかった。『帰ってこないと、あなたは親として義務を果たしていませんよ』ってプレッシャーをかけてくる。避難先の学校に行かせるなって指示が出ていたと思います」

この根拠が「学校が再開されることになったけどどうされますか」という学校からの電話のみ。

自分が有利になるように話をつくり被害者感を出しているのがミエミエ。


なぜ100%政府のせい行政のせいにしたがるのか?

自分で「ここに残りたいんですけど」、「子供が避難先の学校に慣れているので結構です」、「そこは安全でないので戻れと言っても戻りません」と言い返せば済む話だ。

操り人形でも言葉がしゃべれないわけでもないのに。



「え、まさか、今のニッポンでこんなことが……と思ってるあなた。
これはあなたの明日かもしれない。
雨宮さんだからこそ聞き出せた、現代ニッポンの“棄民"レポート」-----上野千鶴子氏

ごく一部の富裕層を除き、多くの人々にとってすでに他人事ではない「貧困/自己責任大国」日本の現実とその構造を、さまざまな「当事者」たちへの取材を通して、平易な言葉であぶり出す。疲弊する個人と社会に、今、どんな処方箋がありうるのか。<貧困問題>を10年以上にわたりさまざまな角度から追ってきた著者による、いままさに、切実な1冊。超格差・超高齢化社会の中で、今後、必然的に<弱者>となる多くの私たちは、どう生き抜くことができるのか?

(「もくじ」より抜粋)
(1)「お父さんの子どもを産みました」──虐待の末、路上に辿り着いた女性/ (2)子どもの虐待と<貧困>──見えない孤立と声なきSOS、その傍らで/(3)介護離職から路上へ、そして路上から支援者へ──親の介護から人生が一変して/(4)「生き残ったのが、父じゃなくて私で良かった」──<利根川一家心中事件>裁判傍聴で明らかになったこと/(5)スーパーグローバルな「おせっかいおばちゃん」──この国で生きる外国人を支える人々/(6)原発避難者の今──「原発はもう安全」というストーリーが生み出す<貧困>/(7)学生が1600万円以上の借金を背負うシステム──奨学金破産1万人・日本の特殊な現状/(8)<アリさんマークの引越社>、その「アリ地獄」的実態──剥き出しの悪意と人権侵害の企業で闘う/(9)性産業はセーフティネットたり得るか──「風俗」と「福祉」を繋ぐ<風テラス>の試み/(10)人の命を財源で語るな──<生存権裁判>が問いかけるもの/(11)<相模原障害者施設殺傷事件>を受けて──<スーパー猛毒ちんどん>と、ALS患者たちの生きる実践/(12)<座談会>それでも私たちは生きていく──30代男女に聞く「非正規労働者」の現在・過去・未来

著者略歴
●雨宮処凛(あまみや・かりん)1975年、北海道生まれ。2000年、自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版)を出版し、デビュー。以来、若者の「生きづらさ」についての著作を発表する一方、イラクや北朝鮮への渡航を重ねる。 06年からは新自由主義のもと、不安定さを強いられる人々「プレカリアート」問題や貧困問題に積極的に取り組む。反貧困ネットワーク世話人、09年~11年、厚生労働省ナショナルミニマム研究会委員。著作に、JCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞した『生きさせろ! 難民化する若者たち』(ちくま文庫)、『ロスジェネはこう生きてきた』(平凡社)、『14歳からわかる生活保護』(河出書房新社)他。共著に『「生きづらさ」について 貧困、アイデンティティ、ナショナリズム』(萱野稔人/光文社新書)他。