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愚者が訊く 2015年6冊目

愚者が訊く ★★★★☆



ホリエモンと真逆の意見であふれた本だ。
脱原発、脱効率、自然回帰。
素晴らしいワードだけれども、いくつかの対談は政府が悪い、行政が悪いという愚痴にも聞こえた。


「なぜ日本人は”原発の嘘”を信じたのか?(小出裕章)」では原発の真実を知りちょっとした衝撃を受けた。核廃棄物の現実を知ると脱原発はしなければいけないんだれども、その分のエネルギーはどうするんだろうか?著者の言う「自動販売機、待機電力、24時間営業を止める」ことでまかなえるんだろうか?


「段々畑に染み込んだ農業の真実(山下惣一)」の歯に衣着せぬ意見が面白かった。でも、関税と助成金に手厚く保護されて小農が経済的に成り立っているのを頭に入れないといけない。



p.254

何も俺たち、日本の農業のためにやってんじゃねえんだから。そんなこと知ったことか!(笑)

p.264

林原:じゃあ、TPPで例えば13パーセントぐらいに食料自給率が落ちたとしたら、どうしますか?
山下:これはですね、逆に考えれば、日本人の13パーセントしか、国産の農産物は食えないということですよ。逆から考えれば。
山下:俺達は自分の分は作るわけだから、別にどうってことないの。希少価値が高まるだけだと、俺は思ってる。俺たちはほんとうに美味い野菜が食えるってことで、万々歳。

p.271

山下:世界中の農業を見て回って思うんだけど、大規模農業があるところには、片一方に土地なし農民がたくさんおるんですよ。そういう国には必ず都会にスラムがありますね。
山下:日本にスラムがないのは、小農を土台にしている国だからだというのが、私の意見です。だからこそ小農を大事にすべきだと、言ってるんだけどね。

かといって税金で農業だけを手厚く扱う訳にはいかない。


p.280

私たちはテレビやインターネットを通して、知ったつもり、分かったつもりになっているが、実際に本物に出会って実感を持って理解することは極めて少ない。

バカの壁 2015年5冊目 - How Many Books Do You Have?で書いたムツゴロウさんの意見と同じ。




内容紹介
北海道・富良野の豊かな自然の中で環境教育活動を行なっている脚本家・倉本聰が、自然のあり方、ヒトの行く末、日本の未来について、
一流の専門家たちに恥も外聞も捨て、愚者として初歩的な質問をどんどん問いかける対談集。
「誇りを捨てなかったら得られなかった」―― 珠玉の知識に溢れた一冊。
対談相手はジャーナリスト・池上彰氏、ベストセラー『原発のウソ』の京大助教小出裕章氏、地球惑星科学者で東大名誉教授・松井孝典氏など7人。