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ホームレス中学生

ホームレス中学生 ★★★★☆


「〜だ。」「〜いた。」「〜た。」と続く文章は洗練されていない印象を受けたが、同時に背伸びしない感じもした。
ゴーストライターじゃなくて本人が執筆して本当によかったと思う。

中学生で公園生活。
辛さは描写されている。
が、恨み辛みはなく支えてくれてた家族や周りの人への感謝があり読後感が非常に良い。
素直で温厚な著者の人柄がうかがえた。
自分なら世を恨み、境遇を恨みひねくれていただろう。


p.7
「ご覧の通り、誠に残念ではございますが、家のほうには入れなくなりました。厳しいとは思いますが、これからは各々がんばって生きて下さい。………解散!!」

なんていう無責任。


p.98
よくみんなに「お父さんに恨みはないのか?」と聞かれる。
確かに家が無くなって苦労はしたが、全く恨みはない。
むしろ感謝の気持ちで一杯である。
お父さんは本当にがんばっていたと思う。
お母さんの死に関しても、きっと僕たちよりショックは大きかっただろう。
それでもお兄ちゃんをちゃんと大学に行かせ、お姉ちゃんを高校に行かせ、僕にも部活を続けさせてくれた。
僕たちに働くことを強要したりは一切しなかった。

お父さんに対する恨みはないということが意外だった。
よく許せたな。


p.154
24時間腹が減っている状態が続く。何かを食べているとき以外は腹が減っている。
食べ終わった時点で、ものすごい物足りなさを感じて、他に何か食べる方法はないのかという考えが頭をよぎる。満腹になることはない。何ヶ月もの間、常に腹の減りを感じて満足することはない。これは辛い。常に欲している状態。もし僕が獣なら、かなり荒れていただろう。

これ以外にも空腹の辛さがよく描かれている。



内容紹介
麒麟・田村のせつな面白い貧乏生活がついに小説に!
中学生時代の田村少年が、ある日突然住む家を無くし、近所の公園に一人住むようになる超リアルストーリー。
ダンボールで飢えを凌ぎ、ハトのエサであるパンくずを拾い集めた幼き日々から、いつも遠くで見守ってくれていた母へ想いが詰まった、笑えて泣ける貧乏自叙伝。
内容(「BOOK」データベースより)
ダンボールを食べ、ウンコの神様と呼ばれた…麒麟・田村のせつな面白い公園生活!!麒麟・田村の貧乏自叙伝。