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ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本

ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本 ★★★★★

久しぶりに英語小説を読んでみたいと思って手に取った。
残念ながら高校の副読本よりずっとずっと簡単で、あっという間に読んだ。

そもそもこの本の概要を読むと、

英語をやってみたいという方が「最初の一冊の本を読み始める」までの「準備運動」のつもりでかきました

とのこと。
まさしく、その通りの内容だった。
初学者、とくに中学1年生が読むのに素晴らしい英語小説だと思う。
1文1文に解説が載っている。
ただし文全体の日本語訳はない。
その理由は、巻末に記されている下の言葉で理解できるだろう。

英語で読む時には、「こうでなければいけない」「ここはこう訳すんだ」と頭で固く決めつけず、楽しみながら、おおざっぱに言葉を感じ取って下さい。「こんな感じかな?」「こうならおもしろいな」と、想像力を膨らませて、言葉の向こうにある心を感じ取って下さい。

また、巻末に次のステップに進むための英語小説が紹介されているのがありがたかった。
★5つ。

p.48 発音と区切り
日本人の英語がネイティブスピーカーに聞き取ってもらえないのは、発音が悪いからではなく、文を切るところ、つまり息継ぎの場所がおかしいからです。
何より証拠に、アメリカに移住したアジア系やアフリカ系のアメリカ人の英語は、日本人と大差のない発音ですが、ネイティブスピーカーは彼らの英語を聞き取ることが出来ます。彼らの発音がユニークだとしても、文章を区切るところが正しいので、聞き取ることが出来るのです。

発音より区切りが重要なのは、アメリカに20年近く住んでいたという著者の言うことなので間違いないだろう。
しかし、中学、高校、大学英語では区切りについては教わらなかったなぁ。
だが、経験的に身についていた。

区切りの理解については、田中茂範さんのチャンク英文法―文ではなくてチャンクで話せ!もっと自由に英語が使える - How Many Books Do You Have?がすごく役立つと思う。

p.58
beは「いる、ある」などと訳されることが多いのですが、これは必ずしも正確な訳とは言えません。正確な訳は「存在する」になります。ただ、日本語にした場合、「存在する」という概念は大変大げさなもので、日常会話に用いると不自然になるため、「ある」や「いる」で置き換えられることが慣例になっています。
しかし、このbeという単語は、そこに「ある」という偶発的な意味ではなく、あくまでそこに「積極的に存在する」事を意味している単語です。

p.142
aの方は群衆の中から一つの物体や生き物を照らし出すような感覚ですが、同時に立って一つのモノだけが孤立し、ぽつんと暗闇の中におかれているイメージがあります。ある種の寂しさを伴う単語です
対してtheは下から沢山のスポットライトが一つの物体や生き物を華やかに照らし出し、周りにはそれを見て拍手している観客が沢山知るような感覚を持っています。ファンファーレが鳴って「theの登場でーす!」という感じの華やかさを持っていて、孤立感の強いaと決定的に異なっていると言えるでしょう

映画のタイトルで考えると
A Small Town

The Small Town
という二つの映画があるとすれば、二つとも訳は「小さな町」になってしまいますが、アメリカ人がタイトルだけから判断すると、上の作品は「牧歌的な小さな田舎町で起こる人間模様を描いた純文学系の作品」に感じられますが、下は「どこか隔離された町で起こる恐怖の物語」のような感じを思い起こさせます。

もし女性からYou're just a man.と言われれば、「あなたはなんでもない人です」という意味になりますが、You're just the man.と言われれば一転、「あなたしかいない」という意味に早変わりします。致命的なほどのこの違いが、ただaとtheの違いによってもたらされています。

aとtheのイメージの違いは知っていたが、映画のタイトルの比較は、知っている以上のものだった。

p.153
at night
in the morning
morningがinに対して、nightがatなのは夜間は活動せずに寝るため、夜は「一瞬」と考えられるから。夜、動き回る場合はin the nightもあり得る

p.157
byとwith 依存
byはより精神的な寄り添い方で、withはより物理的な接触を示す。by handというと「手作り」という概念だが、with my handsだと実際に手を使って何かを行うことを示す。
by accident 事故によって--転じて「偶然」。「これは事故のせいなんだ」と、出来事を偶然性に「依存」している。

byとwithの違いを説明しろと言われたら、いくつか例文を出せるくらい。
言葉に詰まる。
しかし、こんなニュアンスの違いがあったとは、目から鱗だ。

p.161
foreverとto eternityとの違いは、積極的に永遠に向かって行動しているtoに対して、今までも変わっていない、これからも変わらない普遍的な状況に良く用いられる。

p.161
for 譲渡。意志に反して「渡す」のではなく、「捧げた」という善意の心が働いている
Ed left the city for Everville.
「EdはEvervilleに住むために都会を離れた。」「都会での生活」を「Everville」に捧げたので、forが使われている。toと違って、forは主体に肯定的な意志があるので、エドは好んで都会を離れたことになる

肯定的な意志があるとまでは知らなかった。

p.164 難易度別お勧め書籍
初級

  • Seasame Street Books
  • Dr. Seuss Books
  • Creepy Susie and 13 Other Tragic Tales for Troubled Children

ステップアップ

  • Encyclopedia Brown Series
  • How to Eat Fried Worms

中級

  • Roald Dahl's books
  • The Three Investigators Series
  • The Great Brain Series

上級

  • Harry Potter Series
  • Animorphs Series
  • Where the Red Fern Grows
  • The Chronicles of Narnia
  • comics by Neil Gaiman
  • Concrete(Series)

ハリーポッターは難しそうだ。
だから、次は中級の本を読んでみようと思う。

商品説明
英会話を習ってみたけど、思うように上達しない。どうしても英文法にしり込みしてしまう。ちょっと長い文になると何が何だかわからない。――そんな挫折経験をもつ多くの人を「やっとわかった!」と喜ばせたベストセラーがこの本だ。ブルーベリーパイが好物の太ったネコという、楽しい設定が人気を呼んだことは間違いない。だが最大の特徴は、あくまでも「読む」ことに着目して、英語の仕組みを教えている点にある。わかりやすさへのこだわりは、文法用語を使わない説明はもちろん、イラストやデザインの細部にもうかがえる。
読んだ蓄積があってこそ、言葉が身につく。聞き取れないのは発音や話す速度のせいではなく、相手の言っている文を見たことがないから。だから英語を読もう。最初の1冊を選び、読み始めるまでの手伝いをしますよ。そうこの本は呼びかける。巻末には、英語のおすすめ書籍がリストアップされている。
「文のどこに注目して、どこが重要で、どこはおまけなのか、それを見分ける程度の知識」を身につけることがねらいであり、「この本を読んだからといって、すぐに英語ができるというものではありません。」とこの本は名言している。「わからない部分はあって当然」という割りきりも好ましい。
英語は自分に合った方法で勉強すればよい。でもそれがわからなくて苦労している人は、この本を手にとってみてはどうだろう。英語理解へのヒントが、すっきり見えるかもしれない。(佐々木順子)