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aとtheの底力 -- 冠詞で見えるネイティブスピーカーの世界

aとtheの底力 -- 冠詞で見えるネイティブスピーカーの世界 ★★★★☆

内容は平易で読みやすく(章構成は別)、非常に為になった。
これは買って家に置いておいても良いと思った。

しかし百獣の王の例が何度も見られ冗長な感じがした。
うまくまとめて説明することが出来なかったのか。

それから章の構成が複雑な感じがした。
2章の「theを使う表現」の中に9章の「theの不思議(区別する仕方)」を含めた方が、ページを跨がず分かりやすかったのではないだろうか?
それらの点を引いて★4つ。

p.3 はしがき
日本語には冠詞がないので、英語の冠詞を見ても、私たちの目には、ただの「小さな記号」としてしか映りません。英語がもっとできるようになりたい、と願いながらも、冠詞に興味をもつ人は少なく、使い方もいいかげんです。

冠詞は単語(名詞)の前に付ける矢印(→↑↓←)みたいなもので、正確なコミュニケーションには不可欠なもの、大げさに言えば、冠詞の中には、相手の人が世界を、ものごとを、どのようにとらえているのかが、さりげなく隠れているからです。

p.117 冠詞を決めるもの
2つの表現をイコールで結ぶのは良くない。日本の英語教育の悪いところの1つだ。言葉は数学じゃないんだから

まさしく中学の時に習った「 will = be going to 」。
違う単語なんだから意味、ニュアンスが違う。
違う言い回しなんだから意味、ニュアンスが違う。

p.203 終章 病気から希望へ
冠詞は、ふだん私たちがあいまにしている「相手はモノをどのように経験し、とらえているのか」を明示してくれます。外国語を使っているのは、気候も文化も違う場所で育った「他者」なのです。おおげさに言ってしまえば、「他者には世界がどのように映っているのか」を示しているのが冠詞なのです。

結局、話し手の頭の中でどう考えているかによって、”a”がついたり”the”がついたり”無冠詞”だったりする。冠詞の重要性がよく分かった。

出版社からのコメント
次の質問に正しく答えられた人は本書を読む必要はありません。
□ なぜ固有名詞には、ふつうa / anやtheを付けないのか?
□ なぜ複数形には、a / anを付けないのか?
□ なぜ不可算名詞には、a / anを付けないか?
□ なぜ形容詞や動詞には、a / anを付けないのか?
□ go by car(車で行く)のcarには、どんな冠詞が付いているのか?

こんなの常識ですよね、はい終わり!... では、
あまりにも不親切ですし、だいたい、本書が売れなくては困ってしまいます。

ネイティブスピーカーとノン・ネイティブスピーカーを分ける最大のポイントは、
冠詞なのです。

しかし、「冠詞」の本といえば、これまでは、
事例中心に収録した「事典タイプ」の本か、
ルールを列挙した「お手軽タイプ」の本がほとんどでした。

そしてそれらは
 「だから、日本人にはしょせん冠詞は使いこなせない」
と感じさせるのに十分なものでした。

本書は、
 ネイティブスピーカーが、
 冠詞を通して世界の事象をどのようにとらえているか、
すなわち「考え方」を様々な角度から考察し 、
ノンネイティブである日本人でも
ネイティブ並みに冠詞が使えるようになることを目指した本なのです。