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正しく知る不安障害 ~不安を理解し怖れを手放す~ (ぐっと身近に人がわかる)

正しく知る不安障害 ~不安を理解し怖れを手放す~ (ぐっと身近に人がわかる) ★★★☆☆

2010年の著書。
服薬ではなく不安のコントロールでもなく不安のコントロール感覚に力点を置いた本だ。
同じ類のamazonで評価の高い(海外の文化や習慣が含まれた著述部分がスッキリこない、よくわからない例え、抽象的な治療法)海外のパニック障害本比べて分かりやすかった。
しかし、副題の「不安を理解し恐れを手放す」の具体的な方法が書いてなかったのが残念だ。
そこが一番知りたかった。

後に引用する「話に夢中になる」ことが恐れを手放す著者の具体的な方法ならば、ちょと非現実的だと思う。それが出来てればパニック障害歴数年、数十年の人がいるわけがない。
他に具体的な例が見つからず、著者自体も手詰まりを感じているのではないだろうか。
パニック障害に特化した本ではなくPTSDや強迫性障、社交不安障害にも言及されている不安障害本なので、自分には必要なかったページもあったので★3つ。

*後に引用しているが、不安のコントロールがダメなのは、不安をコントロールしようとする姿勢が、恐れの姿勢だから

p.72 呼吸は自律神経に影響を与える
不安の時の身体反応に対処する上で最も重要なのは呼吸です。

交感神経が優位の状態から副交感神経を優位にするように腹式呼吸をすると、どれかの本に書いてあったのでその通りだと思う。

p.73 過呼吸の時に起こること
パニック障害のときには、「息苦しい」と感じる人が多く、呼吸が足りないと感じられるものですが、実際には呼吸しすぎの状態になっていることがほとんどです。そもそも、(恐怖に直面したときに)「闘争か逃避か」反応のときに呼吸数が増えるのは、すぐに走って逃げられるように酸素吸入量を増やすためですが、私たちは不安反応が起こったときに必ずしも走って逃げるわけではないので、そんなに酸素は必要ないのです。すると、酸素が余った状態が作られてしまい、それが過呼吸の症状に繋がっていきます。

なるほど!これは初めて知ったメカニズムだ。

p.74 呼吸をコントロールする
過呼吸は自覚されていないことも案外多いですが、1分間に12回以上呼吸をしていたらおそらく過呼吸です。
また、鼻で息をすると言うことも大切です。鼻で息をしている限り、過呼吸になることはまずありません。物理的に鼻が詰まっているときなどは別ですが、そうでもない限り、安静時には鼻だけで人間は十分生きていけます。

過呼吸の時に鼻呼吸ではおいつかず、鼻呼吸は出来ないから当然といえば当然。

p.75 筋肉の緊張をコントロールする
息を吐くときに筋肉はゆるみます。筋肉を弛緩させるときには、息を同時に吐くと、リラックス効果が高まります。身体の動きと呼吸が一体化しているヨガのリラックス効果が高いのは、呼吸と筋リラクセーションの課題を同時に行っているからだと考えられます。

おお、ヨガをこのまま続けよう。週1だけど。

p.82 食べ物に気をつける
低血糖もパニックの引き金になります。
食後に血糖が急激にあがるようなもの(ジャンクフードや甘すぎるもの)を食べると、インシュリンが大量に分泌されるようになり、結果として低血糖をきたすことがあります。
おすすめは、「低GI(グリセミック・インデックス)食品」と言われる食品ですが、玄米、全粒粉パン、豆類など、食物繊維などが豊富で、ゆっくり消化されるようなものです。

砂糖よりも4倍分解に時間がかかる果物が良いと最近読んだ本に書いてあったな。

p.152 不安障害の人に接する基本姿勢
一般に,不安の強い人をめぐって混乱している状況を見ると、周りの人が本人の不安を解決しようとしてしまっている、ということが多いものです。「心配しない方が良いよ」というものも含めて、さまざまなアドバイスを与えているのです。
実はアドバイスには大きな問題があります。アドバイスというのは、現状は良くないから変えるべきだ、というメッセージを元々含んでいるものです。

自分が不安であることも不安だという状態の人に向かってアドバイスをしてしまうと、自分が不安である事への不安がますますつよくなってしまいます。「やっぱりこのままではいけないんだ」と思ってしまうのです。されとて、そんな状態の時にはアドバイス通りにできないものですから、ますます不安になります。そもそも「感じるしかない不安」を感じているわけですから、「心配しない方が良いよ」と言われても、どだい無理な話なのです。

その通り。それが効くなら自分で抑えられる。

p.153 気持ちをよく聴き肯定する
よく気持ちを聴き、「こんなときには不安になるよね」と、不安を肯定してあげるのがもっとも適切な対処です。

なるほど。

p.154 治療者ではなく支え役を引き受ける 治療は専門家に任せる
治療者は、専門知識に基づいて事態を改善していく役割、そして、身近な人はそれを支える役割をはたしいただきたいのです。

俺みたいに患者本人がパニック障害に関する本を読みあさり、知識を付けることは完治には必要なことだと思う。パニック障害は自分で治すものだからだ。
でも自分は患者で医者じゃない。
自分が医者になって(なった気分になって)、担当医と対立することは避けるべきだと思う。
これは患者本人にもそれを支えてくれる人にも言えることだ。

p.166 不安を単なる感情に戻す 感情としての不安と、心の姿勢としての恐れ
不安障害が治るということは、不安を、単なる感情という本来の立場に戻してあげることです。

p.167 不安を単なる感情に戻す 不安をコントロールしようとしない
不安をコントロールしようとする姿勢が、恐れの姿勢だからです。

不安は、それほど意識してあげなくてもよい、単なる感情なのです。
不安に対する恐れを手放せるようになると、不安をあるがままに見られるようになります。「不安は悪いもの」という評価を手放すと、逆に不安から距離を取って客観的に見られるようなるのです。すると、そこから学ぶべき事を学ぶことができますし、それ以上学ぶべき事がなければ、ただそのままにしておくと、いずれ不安は消えていきます。

これは海外本の趣旨と一緒。
”単なる感情なんです”といわれてもなんの前進もない。
言葉で分かっても、それを怖がるからパニック障害
”単なる感情”とか”不安に対する恐れを手放す”という事にたいする具体策もなく、当たり前のことを言われても意味がない。

p.169 現在に生きる 安心は現在にしかない
実は、安心は現在にのみあります。未来には常に未知の要素がありますので、そこには100%の安心はありません。でも、今現在に集中することができると、そこには不安の入り込む余地が無くなるのです。

人の話にただ夢中で耳を傾けているようなときには、不安は全く感じていなかったはずです。

気が散り始めると不安がまた始まります。

確かに。気を自分以外に向けることが大事。こうやって不安にならない回数、日数を増やしていくということか。

p.168 現在に集中する工夫
目の前に人がいるのであればその人の話を心から聞き、歩いているのなら一歩一歩に心を込めて歩き、食べているのなら美味しいと味わって食べるというようなことが必要です。何をするにしても、必ず「もや」が出てくるでしょう。例えば、人の話を聞いているときであれば、「いいなぁ、私よりもずっと自信があって」と、相手にも自分にも評価を下してみたりし始めるでしょう。そんな思考に気づいたら、単にそれを脇に置いて、もう一度相手の話に集中し直すのです。

それが出来ればね。そう出来たら一番。

p.170 自分の歩みにコントロール感覚を持つ
未来のことが不安になってきたら、病気の治療に取り組む前の自分や、1年前の自分などと比較して、「こんなによくなったんだ」ということを感じてみるのです。これは、過去を振り返っているようでいて、実は現在の自分の力に気づくやり方です。

内容紹介
対人恐怖症やパニック障害といった言葉を頻繁に耳にするようになりました。より複雑化しデジタル化された現在社会の中で、多くの人がなんらかのストレスを心に抱えるようになったためといわれています。本書では、一般に不安障害と呼ばれている多くの心の病について実例を紹介し、それを引き起こす要因、それを自覚する術、対処方法、治療や克服といったことを、周囲の対応方法なども含めて、一般の人にわかりやすく解説します。
内容(「BOOK」データベースより)
現代人の多くが心に抱える不安障害という病気について精神科専門医・元衆議院議員水島広子先生が正しく解説。読むだけでも不安が軽くなるように書かれています。