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新版 不安・恐怖症

新版 不安・恐怖症  ★★★★★

勧められたので新刊じゃないが読んでみることに。
新版となっているけど、2005年のもの。
7年前ということを意識して読まないといけない。
だが、読んでみると自分が受けている治療と同じ。つまり7年間進歩がないということか。

序盤は例の如くいろいろな症例紹介で興味があるのは5章の「治療はどのように行われるか」から。
残念なのは、この本では実際の患者に対する研究結果として〜の患者は40%、〜の患者は28%と言葉で書いている箇所がいくつくあるが、円グラフでの方が分かりやすいと思う。

p.123
セロトニン仮説
抗うつ薬SSRI選択的セロトニン再取り込み阻害薬。商品名パキシル)はパニック障害に効果があります。
この薬は、セロトニンを再利用のために再び神経終末に取り込むゲートをふさいでしまい、セロトニンがいつまでも作用していることが出来るようにする薬です。
この薬がパニック障害に効くということは、パニック障害ではセロトニンが不足しているか、セロトニンを感じる部分(受容体)が鈍くなっている可能性があると考えられます。

一方、セロトニンのある種の受容体を直接刺激したり、神経突起からセロトニンを遊離させてもパニック発作を誘発することが知られており、パニック障害セロトニンについての関係は複雑です

セロトニンパニック障害と密接に関係があるのは間違いないようだ。
セロトニンでも発作を抑える現象もあれば発作を誘発するという相反する二つの現象がある。
と言いたいところだけれども、これから分かることはセロトニンの量とか受容体の感度などセロトニン自体が重要ではなく、セロトニンを再び神経終末に取り込ませないということ。

p.174
神経はある一定以上の刺激が与えられないと反応しないのです。しかし、刺激が加えられ、興奮を繰り返していると、その刺激がはじめほど強くなくても興奮するようになります。つまり興奮によって次の興奮を起こしやすくするのです。反対に鎮静状態を保つと刺激を与えても興奮しなくなってきます。
薬による治療は、この鎮静がさらなる鎮静を呼び起こすことを期待して行われます。
薬でパニック発作を抑える対処療法によって、神経の興奮を静め、その状態を持続させることで、簡単に興奮しない状態を作り出し、対処療法以上の効果(体質を変えてしまう)を生むわけです。このようなことから、薬による治療は根治療法ではありませんが、たんなる対処療法とも言えないのです。

服薬が単なる対処療法ではないという安心感が得られる内容で喜ばしい。
対症療法 - Wikipedia
表面的な症状の消失あるいは緩和を主目的とする治療法

p.177
抗不安剤ベンゾジアゼピン
利点

欠点

  • 広場恐怖、鬱病への効果は低い、依存が時にある、禁断症状が時に出る

抗うつ剤SSRI)
利点

  • 服薬回数が少ない
  • 広場恐怖に有効
  • 鬱病にも有効
  • 長期服用しても安全

欠点

  • 効果がすぐでない
  • パニック発作の抑制作用は弱い
  • 断薬に注意が必要

SSRIに関してはそんなに安全なのか?
この著者を鵜呑みには出来ない情報がある。
抗鬱薬SSRI副作用で暴行傷害殺人事件多発 - YouTube
【隠蔽】マスコミが流通させた抗うつ薬SSRIの副作用で暴力犯罪多発 - YouTube

p.182
パニック障害の服薬は防衛的治療です。症状が出るから薬を飲むのではなく、症状が出ないように前もって服薬しておく必要があります。
症状が出ないように、調子が良くても、悪くても、きちんと服薬することが大切です。

なるほど。

p.183
長期服用による中毒の有無
服薬による薬物中毒の心配はほとんどありません。抗パニック薬により取り返しのつかない副作用が出ることはまずありません。
耐性
一部の薬(クロナゼパム)にそのような作用が少しありますが、大部分の薬には耐性は認められません。
禁断症状
服薬している薬を急に中断すると出てくる症状です。一部の作用時間の短いベンゾジアゼピン系の抗不安薬を長期にわたり使用していて突然断薬すると、吐き気、めまい、不安感が見られることがありますが、これはごく一部の薬ですし、このような薬を使用しても、こうしたことが認められるのはひじょうにまれです。ほとんどの患者さんでは、急激な断薬によりパニック障害の症状がぶり返す(再発)ほうが多いのです。

これは…再発するので禁断症状どころじゃないよ、振り出しに戻り薬を飲む状態に戻るよという意味なのか、急な断薬じゃなければ禁断症状はでないよと言いたいのか不明だ。
調べたら禁断症状の意味を間違えていた。
”依存性薬物の慢性使用を急激に中断したときに現れる精神身体症状のこと”を禁断症状というそうだ。

耐性の心配はないが、禁断症状はあることのほうが多いということか。

p.183
パニック障害の薬物治療の効果を上げるには、できるだけ早期に、徹底的に薬を飲むべきだと著者は考えています。

徹底的か。著者の治療方針がよく分かる言葉。

p.189

この図はなにを表しているのだろうか?
+の量が多いほど効果が高く、−だと逆効果だという意味だろうか?それとも副作用という意味だろうか?
記号の意味を書かない図は意味を成さないと思う。

p.194 エクスポージャー(暴露療法)
地下鉄に乗ったとき激しいパニック発作を経験したとします。つぎに地下鉄に乗ろうとすると、「また、パニック発作が起こるのではないか」と考え、恐ろしくなって地下鉄に乗ることをやめてしまいます。
地下鉄に乗ることは犬の実験のベルと同じで、「地下鉄に乗るとパニック発作がおこる」といった、本来は全く関係のない二つの事柄を関連づける学習がされてしまうのです。このような状況が一回でも与えられると、条件反射が形成されてしまいます。そして、もし、地下鉄の中で再びパニック発作が起こったとすると、この誤った学習は強化され、ますます訂正することが困難になっていきます。こうして地下鉄に乗れなくなり、広場恐怖が固定していくわけです。
広場恐怖のエクスポ−ジャーは、この誤った学習を少しずつ是正していく治療法です。

ベルを鳴らしても餌を与えないことを繰り返せば、犬はベルの音に以前のように反応することなく、唾液を流すことはなくなります。(このようなことを「条件学習が消去された」といいます)

人は恐怖を感じる場面にさらされると、不安は数分で最高潮に達します。しかし、激しい不安はいつまでも続くわけではありません。時間の経過とともに少しずつ軽くなっていきます。エクスポージャーでは、不安が軽くなっていくのを患者さんが経験することがもっとも重要です。
もし、この不安が静まるのが待てず、途中で恐怖を感じる場面から逃げ出してしまうと、不安感は一時的に軽くなりますが、恐怖感はいつまで経っても取り除かれません。

パブロフの犬の例えはわかりやすい。
しかし不安が最高潮に達したらパニック発作になるのでは?最高潮に達しても歯を食いしばって我慢しようがパニック発作になると思うのだが。

p.200
自己行動療法の要点は、頓用の抗不安薬ワイパックス1mgを舌下で服用すると効果が3分間前後で出現し始める)をどんどん使い、恐怖を持つ場面に頻回に直面することです。そのチャレンジの回数が増えれば増えるほど、恐怖はどんどん減弱していきます。
そして、最終的には頓服薬なしで行動できるようになります。ようするにどんどん頓服薬を使い、どんどん行動することです。

自分の担当医がいっていることと同じだ。この本読んだんじゃないか?
どんどんカームダン錠(ソラナックス錠のジェネリック)を飲んで、恐怖であった場所がなんでもなかったとうい経験で置き換えていこうという治療方針だ。

p.205
広場恐怖の消長
*消長 衰えたり盛んになったりすること。
この症状はやっかいで、これまで薬では治らないといわれてきました。しかし、著者の経験では、症状が中程度であれば、SSRIをはじめとする抗うつ薬の効果は十分期待できると思いますし、実際に広場恐怖の患者さんがSSRIだけで、どんどん良くなった例もあります。
抗うつ薬にはパニック発作を抑える作用があり、発作が消えていくことで患者さんの恐怖心がだんだんとなくなり、さらに抑うつ感がぬぐい去られることで、恐怖に立ち向かう心の高揚が得られるためだと考えます。

だから抗うつ薬であるカームダン錠(ソラナックス錠のジェネリック)が処方されているのか。俺は全然うつではないのに。
カームダン錠(ソラナックス錠のジェネリック)は抗不安薬でした。

図の説明や分かりづららさはあるものの、統合的、医学的で勉強になった。
序盤の沢山の症例はパニック障害を勉強している医師には必要かもしれないが、患者である自分には必要のないページだった。
著者の治療方針は薬を勧めると明言されていて分かりやすい。
また、パニック障害に不理解な精神科の医師などへの叱咤などとても頼もしいと思った。本気でパニック障害を研究しているのが分かる。
著者の研究でパニック障害の解明、不理解な精神科医の理解向上、さらに一般人への浸透による偏見の払拭が期待される。

商品紹介
意思に関係なくとつぜん起こる激しい動悸や呼吸困難。やっかいな病気であるパニック発作の、新しい治療法や症例がさらに充実しました。原因不明の症状に悩むあなたのための福音書です。
【主な内容】
●不安になるということ
●発作のはじまりとあらわれかた
●まちがいやすい病気
●環境やストレスの影響は?
●どう治っていくか
●不安・恐怖をやわらげる方法
●よい医師、よい医療施設の選びかた